長寿企業から学ぶこと

日本は平均寿命で世界2位の国ですが、企業の寿命も長いことをご存知でしょうか?

2008年の韓国銀行の調査によると、世界で創業200年以上の企業は5,586社(合計41カ国)で、このうち半分以上の3,146社が日本に集中しており、続いてドイツ837社、オランダ222社、フランス196社の順となっています。

また世界の長寿企業ランキングでは上位3社を日本企業が独占しています。1位は大阪市の神社仏閣の建築を手掛ける金剛組です。四天王寺建立のため聖徳太子によって578年に百済から招かれた金剛重光が創設しました。2位は705年創業の山梨県の甲州西山温泉慶雲館、3位は717年創業の兵庫県城崎温泉にある千年の湯古まんと、飛鳥・奈良時代から続く老舗旅館となっています。

金剛組は長年金剛一族が経営してきましたが21世紀に入り経営危機に陥り、髙松建設の支援を受けるとともに、金剛一族は経営から退くことになりました。一方、慶雲館は創業から家族経営が続いており、現在は52代目となっており、世界最古の宿泊施設としてギネスにも登録されています。

そんな日本の長寿企業の特徴は何でしょうか?

東京商工リサーチが行った調査によると創業100年以上の企業の7割は年商5億円未満、5割は従業員10人未満と中小企業が多いと言えます。

また、東京商工会議所が都内23区で営業している概ね創業100年以上の長寿企業に対して行ったアンケート調査があります。そのなかで、今日まで存続してこられたのは、「これまでの伝統を活かしつつ、改善・改良に取り組んできたから」「創業当時の製品・サービス等を変えて新しい製品・サービス等を開発したから」などと回答しています。

企業が長く続くコツは自社の強みや良さを大切にしながらも環境変化に合わせて変わっていけることだと言えるかもしれません。そして中小企業こそ100年企業になる可能性が高いと言えます。

我々が支援する再生途上の企業の多くも、かつて儲かっていた時期がありました。しかし、世の中は変わっていきますので、同じやり方を続けていてはうまくいかなくなることも多々あります。一方で、事業再生がうまく行った企業は、自社の強みをいかしながらも、変わることができた企業です。社長が過去の自分の失敗を認め、会社を再生していくこともあります。後継者が社長の代わりにリーダーシップを取って会社を変えていくこともあります。

企業が存続していくには外部環境の変化にあわせて、新しいことにチャレンジし変化していくことが不可欠と思います。そして機動力のある中小企業だからこそ、変化に対応しながら自らを変える挑戦を継続していけるのだと確信しています。

中小企業診断士・行政書士 竹上将人

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