事業再構築補助金(1次)採択結果の傾向について考える

事業再構築補助金事務局によると、第1回公募の応募件数は22,231件。厳正に審査を行った結果、8,016件が採択されている。

日本標準産業分類で応募割合・採択割合を分析すると、特に製造業、宿泊業・飲食 サービス業、卸売・小売業が多く、この3業種で全体の約6割を占めているが、その他の業種についても幅広い業種で応募・採択されている。

認定支援機関別に応募状況を分析すると、特に中小企業診断士、民間コンサル、地銀などの金融機関の採択率が高い傾向にある。

 


上記の補助金事務局のデータを踏まえ、私個人が補助金支援に携わる中で、採択率に関わるのは以下の点ではないかと考えます。

・自社の強みや経営資源を活かせているか
・他社と差別化できる事業であること、競合他社と比べて優位性があるか
・高い収益性が見込める、かつ実現可能な収益計画があるか

補助金はもらえるものだからもらっておきたいと捉えられることもありますが、
事業再構築補助金については
具体的な計画が求められ、その実現性について審査されます。
中小企業診断士、民間コンサル、地銀などの金融機関の採択率が高いのは、
日ごろから顧客の強みを生かし、実現可能な計画を立案することに
奔走しているからかもしれません。

また、事業再構築補助金は、全額が補助されるというものではなく
ある程度の自己資金も必要です。

補助金で機械を買ったけれどその機械が動いていないことはよくあることと聞きますが、
会社の財務を悪化させるだけ(自己資金を投入しただけ)になってしまいます。
投資からプラスのキャッシュを生み出し(利益をだして)、投資を回収する必要性を念頭におくことが大切です。

もちろん、補助金がなくても、やりたい事業であり、採算がとれていることがベストです。最低限でも自己資金投入分の利益を出せるか、全額出してでも自力でやるような事業内容かを判断基準に、補助金を申請するかの方針を決めていくと良いのではないでしょうか。

中小企業診断士 臼井知美

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