リスケからの脱却

既存債務をリスケジュール中の企業にとって、事業再生のゴールの一つは返済の正常化です。返済の正常化はなかなか難しいとは思いますが、信用保証協会の保証付き融資の場合には、切り札が一つあります。それは「経営改善サポート保証」という保証制度です。通常、信用保証協会の保証付き融資は例えば運転資金は5年、設備資金は7年など、おおむね10年以内の返済期間がもうけられています。これに対し経営改善サポート保証の場合には、最長で15年という特徴があります。(担保の有無等により返済期間は変わってきます)。またこの保証制度では、過去にセーフティーネット保証など信用保証協会の100%保証を利用した場合には、同様に100%の保証で借換えが可能となります。リーマンショック以後セーフティーネット保証を受けることのできる業種は拡大していき、一時は業種指定のない時期もありました。このセーフティーネット保証を使って借入を拡大し、さらに経営が悪化し新規融資が難しい状況でリスケを行ったケースも多々あったと思います。現在、セーフティーネット保証は業種を大きく絞り込んでいるため、再度セーフティーネット保証を使って借入することが出来なくなった企業は少なくありません。そのような企業でも経営改善サポート保証を使えば100%保証での借り換えを行うことができ、これにより返済期間を伸ばし、月々の返済額を抑えることも可能になります。ただし、一度リスケを止めてしまうと、後日再度金融機関にリスケに応じてもらえる保証はありませんから、実施に当たっては慎重に検討する必要があります。
返済を正常化させ、返済実績を重ねることで、新規融資の可能性も生まれてきます。経営改善サポート保証を利用するには中小企業再生支援協議会または経営サポート会議(信用保証協会を含むバンクミーティング)などで、金融機関に対して計画の実行および進捗の報告を行うことが条件になります。自社で経営改善計画の策定が難しい場合には、弊社のような事業再生を専門とする経営コンサルティング会社や認定支援機関の力を借りながら経営改善計画を策定することをご検討下さい。この場合には国から費用の2/3の補助金を受けることができます。残りの1/3についても信用保証協会より半額補てんされる制度もあります。ぜひ、ご活用ください。

中小企業診断士 竹上将人

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