有価証券報告書を眺めて取引先のビジネスを見てみよう

あなたは御社の取引先がどのようなビジネスを行っているのか、ご存知でしょうか?

中小企業の経営管理者として、御社の取引先やその取引先について、成長性や安全性を知ったうえで、商談を進めていきたいところです。

特に、御社の製品が上場企業の製品に組み込まれているのであれば、その会社の業績やビジネスモデルを知ったうえで、商談を進めることができると有益かもしれません。

これから損益計算書や貸借対照表を紹介した後、有価証券報告書の眺め方をお伝えします。

損益計算書は、会社の1年間の経営成績を表す書類となっています。「売上総利益」は粗利のことで、売上高から仕入れにかかった原価(又は、製造にかかった原価)を差し引くことで求めることができます。

この「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引いて、「営業利益」を算出します。この「営業利益」に、営業外収益をプラスし、営業外費用(支払利息など)をマイナスすることで、「経常利益」を算出します。この「経常利益」が、会社の実力を表しているのです。

貸借対照表は、事業年度末における会社の財政状態を表す書類となっています。会社設立時に株主が払い込む資本金だけでは資金が不足する場合、金融機関などから借入して資金を調達します。これらの資金を使って工場をつくり、機械を導入し、材料を仕入れて、生産活動を始めた会社がたくさんあるのです。

貸借対照表の「貸方」(右側)は資金の調達を表し、「借方」(左側)は資金の運用を表しています。返済不要の純資産を総資本(負債+純資産)で除することで、「自己資本比率」を簡便的に算出することができます。この「自己資本比率」が3割より高いと、一般的に、その会社の安全性は高いとされています。

もし、損益計算書は見たことがあるのに、有価証券報告書は見たことがないとしたら、それはもったいないことです。上場企業の情報は、誰でも「無料」で見ることができるからです。有価証券報告書を関係のない情報と思い込んでいなかったでしょうか?

取引で関係する会社のホームページでIR情報にある有価証券報告書を探してみてください!なお、金融庁のホームページである「EDINET」で、上場企業の有価証券報告書を検索することもできます。

有価証券報告書を最初から最後まで読もうとすると息切れしてしまいます。お手軽に活用するポイントは、「主要な経営指標等の推移」を最初に眺めることです。

「主要な経営指標等の推移」は有価証券報告書の最初の方にあり、5年分の経営指標等を時系列で見ることができます。売上高や経常利益もありますので、その推移をみれば会社の勢いが分かります。また、先に説明した自己資本比率やその他の指標もあります。コロナでどのような影響を受けたのかを有価証券報告書で確認して、アフターコロナでどのようにビジネスが変化し、どのような業績になりそうか、予想することは今後の営業活動に必要なことと思います。

「主要な経営指標等の推移」を見てから「損益計算書」や「貸借対照表」を見てみましょう。少し慣れてきたら、「事業の状況」や「関係会社の状況」を見て、取引先の事業内容を探ってください。更に、どのようなビジネスを行っているのか、関連するページを探してみて、必要な時に、必要な情報を活かすことができたら、きっと御社の営業活動に役に立つことになるでしょう。

中小企業診断士 西田学

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