「事業性評価(融資)」について

 最近、「事業性評価(融資)」という言葉をよく耳にします。
従来、金融機関は、決算書の内容や保証・担保の有無を基に融資の判断をしてきました。そのため、成長力がある企業や有望な事業計画を有する企業が、決算書の内容が良くない(債務超過など)ために、設備投資や新事業に必要な資金が調達できず、成長・発展の機会を失ってきました。これでは雇用や地域経済、ひいては日本経済にとって大きなマイナスとなります。
その対策として、国は「日本産業再興プラン」の具体策の一つとして、「地域金融機関等による事業性を評価する融資の促進等」を盛り込みました。これを受けて、金融庁の方針(金融モニタリング基本方針)にも「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれています。
金融庁の方針の中で、「金融機関は、財務データや保証・担保に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(事業性評価)、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していくことが求められる。」と明記されています。
金融機関を監督する金融庁の方針が大きく転換したことで、金融機関のみならず、世の中の関心が高まっています。
では、実際に「事業性評価」をどのように進めていくのでしょうか。
「事業性評価」を行うためには、企業の実態を把握することが必要不可欠です。
金融機関としては、「財務面の情報(定量的情報)」は熟知していますが、「事業性評価」において重視される「事業面の情報(定性的情報)」の収集・分析には苦慮しているようです。
以下、必要となる「事業面の情報(定性的情報)」を挙げてみます。
・会社の基本情報
・ビジネスモデル俯瞰図(どのような商売か)
・経営理念、経営ビジョン
・外部環境分析(市場・顧客ニーズ、競合など)
・今後の経営方針、見通し、経営計画
・自社の強み、課題

上記の中で、企業の事業性を把握するために最も重要となるのが、ビジネスモデルを整理すること(ビジネスモデル俯瞰図の作成)だと考えます。どのような仕組みで収益を上げているのか、自社の強みは何か、将来性はどうか等々を明らかにすることで、事業性を見極めるための材料を得ます。
これらは、事業再生に携わる専門家ならば当たり前に行っていることであり、我々が最も得意としているところです。

今後、「事業性評価(融資)」を推進していくためには、金融マン自身の目利き能力を高めていくことが求められます。それと同時に、当社(NBR)が外部専門家として果たす役割も大きくなるものと考えています。
現在NBRでは、金融機関などの支援機関向けに、業種ごとの論点を押さえることで「誰でもビジネスモデル俯瞰図が作れる」ことを目指したセミナーを企画しています。事業性評価に欠かせないスキルを身に着けることで、目利き能力の向上と事業性評価融資の促進を図ることができます。セミナー開催の際は、是非ご参加ください。

中小企業診断士 小竹繁夫

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