中小企業は総じて人材確保に苦戦しています。厚生労働省の発表では、平成29年4月の有効求人倍率は1.48倍を記録し、1990年7月に記録したバブル期の最高値(1.46倍)を上回り、1974年2月以来、43年ぶりの高水準となりました。大企業が人材確保を進める一方で、中小企業の採用はますます困難を極めています。事業不調に喘ぐ企業は、さらに人材確保に苦労していることと推察しますが、企業経営を継続・発展させていくためには、人材を確保し活用していかなければなりません。
現在、「ダイバーシティ経営」という言葉が広く知られるようになってきています。「ダイバーシティ」とは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方のことを言います。つまり、「ダイバーシティ経営」とは、性別や人種の違いだけでなく、年齢、性格、学歴、価値観、障害の有無、性的指向、働き方などの多様性を受け入れ、その能力を最大限に発揮できる機会を提供し、広く人材を活用することで、経営力を向上しようとするマネジメントであると言えます。
我が国では、製造や介護施設の現場などを中心に、障碍者や外国人労働者を活用する事例が増えてきました。女性管理職比率もわずかではありますが上昇傾向にあります。しかし、変化しつづけるビジネス環境や、多様化する顧客ニーズに対応する柔軟で活力のある組織づくりのためには、これまで以上に「ダイバーシティ」を企業経営に取り入れていく必要があります。
特に中小企業においては、組織の柔軟性・機動性といった点で強みを発揮していくためには、「違い」を尊重して受け入れ、組織の中の多様性を力とする「ダイバーシティ経営」の推進が必須であるといっても過言ではありません。
経済産業省では、ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業の、幅広い人材採用や就労環境の整備などの取り組み事例を「新・ダイバーシティ経営企業100選」として広く紹介し、経済産業大臣表彰を実施しています。「ダイバーシティ経営」の推進が重要であることの認識はあるものの、取り組みがなかなか進まないという現状にある企業におかれましては、こうした先進事例を参考にされてみてはいかがでしょうか。
私ども名古屋事業再生合同会社にも、事業再生支援について多様な経験を有する人材が所属しております。「事業再生のプロフェッショナル集団」として、多種多様の課題を抱えている企業の再生支援にこれからも全力で取り組んで参ります。
中小企業診断士 森 正樹