ネット等では法律などルールが規定されている業務、いわゆる定型業務は将来的に人工知能に置きかえられる可能性が高い。だから創造性の高い仕事を目指しましょう、と訴える記事は多く、検索するといくらでもヒットする。図表はそれら記事の中から適当に選んだもので幸い私共、中小企業診断士による経営コンサルタント業は比較的将来に渡り存続しそうである。
先日、ITが得意な同業者と吞む機会があった。彼はWebマーケティングが専門でSEO対策が得意なため、公共の経営相談窓口へ訪れたどんな業種の事業者に対し、例えば飲食店、鍼灸院、冠婚葬祭業、或いは占い師でも、その事業者のHpを確認して認知度が上がるアドバイスをするそうである。殆ど職人技の如く集客セグメントや目を惹くキャッチフレーズを絞り出すのが仕事であり、その事業者の売上げや付加価値額が、その後どれだけ増えたかどうかには興味を示さない。それではコンサルタント業として片手落ちではないかと、チクリと言たくなったが話は面白く、話題のChatGPTはコンサル現場でかなり使えると言う。窓口で全く知らない分野の相談に当たっても、クライアントの目の前でChatに聞くそうである。例えば「背の低い女性向けのワンピースを企画する際の訴求ポイントは?」とか、「甘いものが苦手な中年男性向け栗きんとんの特徴は?」とか突拍子もないことを入力してもAiがそれなりに回答する。Aiの回答はいたって平凡なため、そのまま助言に使えないが、そこからが専門家として本領発揮であり、Aiの回答を踏み台にして創造性の高いコンサル業務を行うそうである。
なるほどと思い私も使ってみることにした。最近、慢性的な赤字に悩む中堅自動車部品製造業から管理職面談をたのまれたので、図の通り入力してAiに問うた。Aiの回答をまとめると次のとおりだった。
・生産性向上に向けた取り組み
・コスト削減について
・品質管理について
・スタッフの育成、教育について
・今後の会社のビジョンや目標について
の5点であった。まさしく平凡な回答でそれぞれの説明は当たり障りなく、当該企業に専門的に使える水準ではなかったが、話題の切り口としてモレ無く必要十分と判断した。
実際にやってみると、やはり赤字企業、不満や受け身的姿勢が続出し、指定時間内に改善の方向性をまとめるのは大変苦労した。が、それが私の業務である。予め自信をもって話題を限定できたのは非常に助かった。
今後Aiはどんどん進化していずれコンサル不要論が話題となるだろうが、Aiを使いこなす側となって自ら興味ある分野のスキルを磨き、長く現役でいたいと思っている。
中小企業診断士 花野 敏也