麻雀ブーム再到来か

ある日、懇意にしていただいている社長との会話の中で突然「ところで麻雀やったことある?」と訊かれた。「学生の時に少しだけ」「今度素人仲間を集めて始めようと思ってるんだけど面子が一人足りないし、先生役よろしく」といったやり取りがあり、およそ30年振りに麻雀牌を触ることになった。正直なところ、もう今後一生麻雀をやることはないだろうと思っていたし、ルールもほとんど忘れていたのだが、プライベートの集まりに呼んでいただいたことが嬉しく、断る選択肢はなかった。
後日、社長のご自宅にメンバーが集合し、挨拶もそこそこに早速始めようかと麻雀卓を囲んで座った。しかし、そもそも素人同士が集まったところで何も始まるワケがなかった。自分も遠い記憶を辿りながら手順やルールを説明するのだが、その説明役からしてツモの順番を逆回りで勘違いしていたくらいである。という訳で記念すべき第1回麻雀「ごっこ」の会はそれなりに和やかな雰囲気の中お開きとなったのだが、さすがにこれでは埒が明かないため次回からは誰か詳しい人を呼びたいね、となったのだった。

それ以来、すこしずつ麻雀に取り組み始めたのだが、昔と違いオンラインで対戦できるスマホアプリがいくつもリリースされ、いつでもどこでも手軽に遊べる環境が整っていることを知った。そしてその効果か、最近は麻雀が女性も含めた若年層に少しずつ流行り出しているそうだ。さらに2018年には大企業がスポンサードしているチーム対抗戦のプロリーグが発足し、いかにもベテランといったプロだけでなく、元アイドルや現役モデル、イケメンのプロ達の真剣勝負が毎日のように動画配信され人気を博している。結果、昔ながらの賭博や喫煙、徹夜などのマイナスイメージは払拭されつつあり、純粋な競技としての麻雀が受け入れられている。
実際、公益財団法人日本生産性本部の『レジャー白書』によると、いわゆる雀荘に通う麻雀人口は1982年の2,140万人をピークに年々減り続けてきたものの、2016年あたりからは下げ止まり、500万人程度をキープしていた。2020年には新型コロナウイルスの流行により一旦400万人にまで落ち込んだが、徐々に回復し、若年層の伸びもあって、2022年にはコロナ前の500万人にまで持ち直しているとのこと。なおこの数字には反映されていない上記アプリユーザーや動画視聴者といった「麻雀は覚えたが実際の麻雀牌に触れたことがない、触れてみたい」層も相当数見込まれ、今後の動向に注目したい。

ちなみに冒頭の麻雀の会のその後だが、流石に経営者の人脈や行動力は素晴らしく、すぐにどこからか有名な麻雀プロを招いてきた。以来、月一回程度集まってきた会もそろそろ一年が経過する。正直、我々の麻雀の腕は相変わらず素人レベルであり、いわば「プロの無駄遣い」状態なのだが、メンバーで卓を囲んでワイワイ盛り上がるのは麻雀アプリにはない醍醐味であり、私の毎月の楽しみとなっている。

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