チェック機能と経営者の意識

2019年12月の会社法改正により、上場企業の社外取締役設置義務化や役員報酬の透明化が図られることとなりました。

その趣旨は、コーポレート・ガバナンス(企業統治、経営を監視する仕組み)の強化により社会や利害関係者の不利益を防止することです。

 

上場企業が自ら上場を廃止する事例がありますが、その主な理由は買収への対策に加えて、ガバナンスのコストを抑えることにあります。

 

非公開会社である一般的な中小企業にとっては、コストのかかる社外取締役の設置は現実的ではないかもしれませんが、法律で義務付けられていないとしても、利害関係者から信頼を獲得し事業を継続するためには、経営をチェックするしくみの構築は必要だと考えます。

 

小規模な企業にとっては、代表取締役に意見できるのは、信頼のできる税理士や取締役などの経営幹部かもしれません。月次決算の評価、経営会議での率直な議論、意思決定プロセスの透明化などの仕組みが適切に運営されていれば、経営判断を大きく誤ることは少なくなるでしょう。

 

しかし、チェックの仕組みがあったとしても、必ずしも妥当な経営が行われるわけではなく、

仕組みに加えて、経営者がその意見に真摯に耳を傾け幅広い視点から判断する意識がないとチェック機能が、適切に経営に反映されません。

 

経営者がワンマンで、周囲の人が意見を言える雰囲気でない場合は、いくらチェックの仕組みがあったとしてもチェック機能が有効でないことは、日産自動車の事例を見ても明らかです。形式的な仕組みだけではなく、経営者の意識の向上が欠かせないと言えます。

 

経営者が市場や利害関係者の評価を謙虚な気持ちで受け入れ、他者の意見を聞き入れながら経営を改善することが、会社の長期的な継続には重要です。

 

適切な会社のチェック機能と経営者の意識向上がそろって初めて、持続的な会社経営が可能なのではないかと考えます。

 

中小企業診断士 大石祐貴

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