事業継続の判断

中小企業の経営者の中には、休日返上で業務をこなし、資金繰りや人員の手配など様々なことに気を配りながら、日々身を粉にして働いている方がいらっしゃいます。しかし、それにも関わらず利益が確保できず、十分な報酬も得られないという方が少なからず存在しています。

企業の業績が窮境に陥り、思うように改善することができない経営者の中には、このまま事業を継続するべきなのか、と悩んだことのある方も多いのではないでしょうか。

資金流出が続き、どうしても改善の可能性が見いだせない場合は、機を逸することなく事業継続可否の判断をすることも重要です。一旦窮境に陥った企業の大半は、再生に向けて前向きに取り組んでおられます。自社単独での再生が難しければ、M&Aなど他社との連携による再生の可能性についても検討しますが、その可能性も見いだせない場合は、事業継続の可否について判断が必要となります。

事業を継続しない場合は、従業員や金融機関、顧客や仕入先など多くの関係者への影響を考慮し、慎重に進める必要があります。多くのクリアしなければならない課題があり、簡単には進まないこともありますが、選択肢として検討することは必要です。債務については、早めに判断すれば保有資産による債務整理が可能である場合がありますし、債務超過の状態であっても、「経営者保証ガイドライン」の適用により経営者の事情を考慮した残存資産が認められる事例もあります。

企業やそこに関わる関係者にとって、制約の中で何が最適な選択なのかを考えることで仮に継続の判断に至った場合であっても、より覚悟を持って取り組むことができるはずです。

事業者や関係者にとって受け入れ可能な選択肢には何があるかを、事業者だけで検討するのは難しいものです。お近くの信頼できる専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

中小企業診断士 大石祐貴

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