社会保険料の滞納のリスク

最近、税金や社会保険料の滞納が原因で倒産する企業が急増しています。東京商工リサーチの調査によると、今年11月には10件の倒産が発生しました。これは前年同月比で9.0%の減少となりますが、1月から11月までの総計では165件に達しており、前年同期比で103.7%の増加を記録しています。この数字は年間最多だった2018年(105件)を7月に超え、その後も更新を続けています。

企業の資金繰りが悪化し、支払いが困難になった場合、事業継続のため従業員の給与や取引先への支払いはせざるを得ないため、社会保険料の滞納を選択する傾向が見られます。しかし、社会保険料を滞納すると以下のようなリスクが発生します。

① 新規融資や補助金の申請が困難になる。
② 高額な延滞利息の発生
③ 後述する金融機関への条件変更とは違い、分割返済が可能でも一定期間内に元本も含めて完済が求められるため、資金繰りへの負担は緩和されない。

このような状況に陥ると、企業の財務状況はさらに悪化します。社会保険滞納が原因の倒産が急増する背景には、近年社会保険料率が上昇し続けていることやコロナ禍で行われていた支払い猶予の特例が切れたことともに、上のような事情が背景にあります。

資金繰りが悪化した際、最初に行うべきは金融機関への相談です。金融機関は、条件変更に対応してくれる場合があります。また社会保険とは違い、場合によっては元本返済の一時停止、利息のみを支払う方式への切り替えに応じてくれる場合もあります。高額の遅延利息も発生しません。

この場合でも新規融資を受けるのは困難になることが多いです。しかし、条件変更後に正常返済へ戻ることができれば、再び融資を受けられる可能性もあります。

社会保険料や税金の滞納は一時的に資金繰りを緩和するように思えますが、長期的には企業経営に大きなリスクをもたらします。早めに金融機関に相談し、適切な対応を取ることが重要です。また金融機関に相談する場合に経営改善計画があるとスムーズですし、金融機関側から求められることもありますが、NBR合同会社でも対応しており、計画策定に関し国から補助金が出る制度もありますので、こちらもご検討ください

関連記事

コメントは利用できません。