若者の車離れ、若者のお酒離れ、など、若者の○○離れとよく言われます。実際はどうでしょうか?よく若者の所得が減っているから消費しないのだという意見も聞きますが、30歳未満の可処分所得はバブル期よりも上昇しているものの、男女とも貯蓄に回し消費をしなくなっているようです。
では車離れについてはどうでしょう?平成29年の消費白書のデータをもとに分析したいと思います。以下に30歳未満単身世帯の自動車等関係費の推移を示しました。確かに自動車等関係費の合計額は低下しています。しかし、低下しているのは男性で女性は支出を増やしていることがわかります。女性の社会進出の影響があるようです。
単純に若者の自動車離れと言っても細かく市場を分析してみると、一律で市場が縮小しているわけではないことがわかります。自動車に関して言えば女性向けの市場には活路があるのかもしれません。
そんな若者の消費傾向を前述の消費白書ではコト消費というキーワードを以下のように述べています。「情報化の進展によりデジタル化されたコンテンツが複製によって簡単に手に入るようになり、モノを所有することの意義が低下する、また、デジタル化されていない情報やコンテンツの価値が相対的に高まるという影響が生じたことなども考えられます。」
この傾向が若者の間でとくに顕著であると白書は分析しており、「スポーツ観戦・映画・コンサート鑑賞」といった「コト消費」について、お金を掛けていると回答した人の割合が若年層で高くなっていると指摘しています。
若者は自動車などのものを所有することにかわり、コトを消費する傾向にあり、また同じ自動車という商品でも女性は支出を増やしています。確かに若者をターゲットにビジネスを展開することは以前よりも難しくなっているかもしれませんが、まったく打つ手がないわけではないのかもしれません。例えば大手ワックスメーカーのソフト99コーポレーションが展開する女性向けwebカー雑貨販売「ココトリコ」は年々売上を伸ばしています。また、若者を中心にカーシェアリングの市場が伸びているのも、車を所有することよりも車を利用した体験を重視する消費者動向の表れとも言えます。
バブル崩壊後、日本経済の成長率は低下しており、若者に限らず個人消費の伸びは低迷しています。若者向けの商品を扱う企業はもちろんこと、企業に取って大事なのは、市場が縮小している、売上が低迷しているから駄目だと考えるよりも、顧客の動向をきっちり分析し、活路を見いだしていくことが重要なのではないでしょうか?
中小企業診断士 竹上将人