人材確保のための職場環境

 中小企業の人材確保は厳しい状況が続いています。少子高齢化により今後ますます日本の15~64才の労働人口は減少することが確実です。その対応として機械化やデジタル技術活用で業務の効率化を進めた上で、人材の確保には、外国人や女性、高齢人材の活用にこれまで以上に目を向けていく必要があります。中でも特定技能やエンジニアなどの在留資格を取得して日本で働く外国人人材の活用はどの企業においても今以上に一般的になると考えています。外国人の能力を上手く活用できるか否かは、企業の競争力に大きな差となって表れると思いますが、そのためには、以下のポイントが重要と考えています。

①文化や言語の異なる相手の理解
②任せる業務手順の明確化
③コミュニケーション

 海外で生活した経験の無い日本人の多くは、外国人の文化に対する理解はそれほど深くないと思います。外国の方の仕事や家族に対する考え方や信仰する宗教、食事などの生活習慣を理解し、それに沿った接し方や仕組みにすることで、仕事や人間関係が円滑になる可能性は高まります。外国の方と日本人の考え方は異なることを理解し、家族や宗教へ配慮した休みの取り方や祈祷の部屋などの設備の整備や、人前で怒ることを避けるなどの対応で外国人が働きやすい職場となり、能力を発揮しやすくなります。
 また、日本で働く外国人は日本語の勉強はしているものの、一般的でない言葉や細かいニュアンスは日本人と同じように理解するのは難しいです。言葉で伝わりにくい業務を説明するために業務手順を事前に明確にし、イラストや写真などを用いて視覚的に理解しやすい工夫をすることや、話す日本語をシンプルにすることなどの配慮も重要になります。
 コミュニケーションに関しては、仕事上のコミュニケーションに加え、外国の方が自国と異なる環境で暮らすことに配慮し、生活面でも交流することで心理的な安心感が得られると思います。
 これらのポイントは、外国人に限らず多様な人材が働きやすい職場を築くためには必要なことだと考えています。今後企業が働き手を確保するために、パートタイムや在宅勤務、遠隔地からのオンライン業務など多様な働き方を受け入れることが求められる中で、今からその準備をしておくべきではないでしょうか。
多様な人材を活用し、採用した人材の能力を育て、発揮できる職場環境を整えることが、組織の競争力確保の最も重要な要素の一つだと考え、それに備えた対応して頂きたいと思います。

 中小企業診断士 大石祐貴

関連記事

コメントは利用できません。