補助金ありきではなく、課題の解決に補助金を活用する

最近は商工会議所・商工会などの支援機関から窓口相談や専門家派遣の依頼を受ける機会が多くなっています。以下の資料は、中小機構中部本部が支援機関に対してニーズ調査を行った結果です。圧倒的に補助金の相談が多いことがわかります。

当方が相談を受ける中で、相談者のタイプは大きく2つに分かれます。①何かしらの悩みを抱えて相談に来られる方と、②補助金ありきで来られる方です。
各補助金にはそれぞれ目的があり、課題によって活用する補助金は変わってきます。いずれの補助金にも共通しているのは、課題を解決するために必要な投資の一部を補助するものであることです。②の相談のように、国からお金がもらえるなら申請してみようという発想も、きっかけとして悪いこととは思いませんが、自己負担が必要となることを理解したうえで、解決すべき課題を抽出し、それにマッチした補助金を有効に活用するべきだと考えます。また、自己資金を投入する以上は、事業の成果、投資効率を追求した事業計画書を作成したいものです。
結論として、補助金ありきではなく、課題解決あっての補助金だと考えていただきたいと思います。

【今年度行われる補助金事業とその目的】

補助金事業名 目的
事業再構築補助金 新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少している企業に対し、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築への挑戦を支援する。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する。
小規模事業者持続化補助金 小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を支援する。
IT導入補助金 中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップを支援する。

最後に、リスケ中の企業が補助金を活用する場合は、支援を受けている金融機関へ説明し理解を得ておく必要があると考えます。経営改善計画の同意を受けている場合、ご依頼事項に○○○万円を超える投資は事前に承諾を得るとの記載があります。また、たとえ投資金額が少ない場合においても、借入金の返済を止めている中で、投資支出を行うわけですから積極的に相談しておくことを推奨します。これは、決して投資をしてはいけないということではなく、投資計画が有効な改善策であることを説明し、更なるご支援がいただけるようにするということです。また、もし投資計画が甘いものだとしたら、ご意見をいただき、それを有効な投資とするためにも大切なことだと思います。

中小企業診断士 小竹 繁夫

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