私が住んでいる地区では、可燃ごみの収集日は水曜日と土曜日の週に2回で、そのたびにマンション前の集積所がごみ袋でいっぱいになる。よくもまあ日々これだけの量のごみを作り出し、袋に詰め、朝からせっせと運んでいるもんだ、などと滑稽にさえ思えてくる。

近年はごみ処理施設の老朽化やそれに伴う処理費用の増加など、ごみ処理問題に悩む自治体も多く、ごみ袋の大幅値上げでごみを減量しようとした自治体のニュースも記憶に残る。私の住む自治体でも積極的にごみ減量に取り組んでおり、定期的に広報誌で公表される1人1日当たりのごみの量も減少しつつあるようだ。ただ個人的に気になったのは、同時に公表される可燃ごみの組成調査結果において、ばらつきはあるものの生ごみが占める割合が約8割で、雑誌雑紙が約1割、あとは食品ロス、新聞、古布、プラ容器包装などとなっていたことだ。重量比なので水分を含む生ごみの数字が大きくなるのはある程度しょうがないが、それでもあの面倒で滑稽な作業の殆どが生ごみのせいだとは…。
この憎き生ごみを何とか減らそうと個人的に数年前からあることを始めた。その結果、今では生ごみがほぼ出なくなった。自炊もしているし、ときには鮮魚を捌いたりもするので結構な量の生ごみが「発生」してはいるのだが、ごみにならないのである。何故か? ひと言でいえば「堆肥化」しているからである。
家庭菜園やガーデニングを趣味にしている方ならもうお分かりかと思うが、コンポスト(正確にはコンポスター)という、生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の力で発酵・分解させて堆肥にする仕組みがある。近所の畑の隅っこに緑色のバケツをひっくり返したような筒状のものを見かけたりするが(田舎限定)あれもコンポストの一種である。他にも回転式や電気式など色々な種類のコンポストがあるが、一般家庭で一番手軽に取り組めるのは段ボール箱を利用したものだろう。
自宅でこの段ボールコンポストを始めてからというもの、ごみの量が激減し可燃ごみのごみ出しは月に1回程度で済んでいる。さらに出来た堆肥がベランダ菜園に使えるし、うっかり傷んでしまった食材や食べ残しもただ捨てるのではなく堆肥化し利用することで罪悪感が薄れるという副次的効果もある。
ただ注意点もあり、微生物の活動に必要な酸素を行きわたらせるため頻繁にかき混ぜなければならないことや、場合によっては悪臭が発生したり、コバエなどの虫が湧いてしまったりといったケースもある。また出来た堆肥も利用場所がなければ持て余してしまうし、であれば最初から可燃ごみとして捨ててしまった方がラクともいえる。
このようにある意味相手を選ぶ取り組みだが、自分にとっては、例えるなら、小さな箱の中で「微生物ちゃんたち」にせっせと餌を与えて飼育しているようなもので、「大量のビールの空き缶も分解してくれると嬉しいんだけど」などと呟きながら今日もコンポストをかき混ぜている。