~効率化するために汗を流す~
「効率的に仕事ができれば…。」これは誰しもが思うことである。しかし、効率化するためにはやはり汗水たらすことが必要なのではないか?
これは、先日私が参加したグループ討議において達した結論である。この結論を得るために以下のような議論が行われた。
個人事業主、あるいは小規模の法人として起業した場合、ほとんどの事業主がプレイングマネージャーとして活動する。それが成長し、やがて組織として活動することで経営者はマネジメントに集中できるようになる。ある意味効率化が図れるのである。
しかし、組織を活性化させ、自走できる組織として確立させるためには、経営者の価値観、企業理念などを共有しなければならない。そのために新人研修や幹部会議などを行い、組織としての結びつきを強めなければならない。
また、テクノロジーを活用することで、生産活動や販売活動、あるいは日常生活を効率化させることができる。例えば、今まで人力により行っていた検査を画像判別により自動化することをはじめ、キャッシュレス決済によるレジの無人化、などがあり、テクノロジー=効率化といった考え方は当たり前と言っても過言ではない。以上のように、生産活動や販売活動を効率化するためには、システムを導入することで解決できると考えられている。しかし、中小企業の支援現場では、システムを導入することで効率化することは理解しているものの、どこをどのようにシステム化すればよいかわかっていない。そして、それをソフトウェアのベンダーに明確かつ具体的に説明できる人材はほぼいない。それが故、もやっとした問いをベンダーに投げるため、もやっとした回答しかできないのベンダーも明確にできるできないの判断に困り、契約欲しさに「できない」と言いづらいことも手伝って「できます(たぶん)」と言わざるを得ないのである。個人的にはベンダーと中小企業の間に立って、中小企業がもとめるシステムを通訳してベンダーに伝えることができることを仕事にすれば、良い稼ぎになるのでははないかと真剣に考えるほど、システム化するためにはどこをどのようにシステム化するのかといった綿密な打ち合わせが必要である。
以上のことから、効率化するためには、こちら(効率化を望む方)からの積極的な働きかけが必要なのではないか。といった結論に達した。つまり、効率化を望むのであれば、自分がいなくても動くように、組織であれば組織の成熟度を見極め、定期的な働きかけが、テクノロジーであれば、効率化するためにどこをどのようにシステム化、自動化するのか、といった分析と要件定義が必要になる。結局、楽をするためには汗を流すことが必要なのである。楽して儲けるなんてうまい話はやはり無いのかもしれない。将来楽をするために、今現在できることを熱心にすることが人間には必要なのだと感じた出来事だった。
中小企業診断士 東野 礼