(公財)日本漢字能力検定協会が発表した昨年の漢字は「災」、昨年は大阪北部地震、北海道胆振東部地震、西日本豪雨など非常に災害の多い年でした。南海トラフ巨大地震が30年以内に起きる確率も70%~80%と言われ、とくに静岡以西の太平洋側の中小企業のBCP策定率の向上が日本の重要課題となっています。そのようななか、政府は中小企業強靭化法案を今国会に提出しました。
内容としては、以下のことが定められています。①中小企業のBCP策定等に関して金融機関、地方自治体、商工会・商工会議所等に期待される協力内容の規定。②中小企業のBCP策定等の事業継続力強化に関する計画(事業継続力強化計画)を認定し、認定事業者に対し、信用保証枠の追加、低利融資、防災・減災設備への税制優遇、補助金の優先採択等の支援措置を実施。③商工会又は商工会議所が市町村と共同して行う、小規模事業者の事業継続力強化に係る支援事業(普及啓発、指導助言、復旧支援等)に関する計画を都道府県が認定する制度の創設。認定を受けた商工会議所等には地方交付税から経費面の支援を行う。
具体的に金融機関に期待される役割としては以下のようなものが中小企業庁の中小企業強靭化研究会で議論されています。
i)BCPの策定支援などのサービス提供
ⅱ)災害に対する事前対策の実施に必要な資金の融資、融資期間の延長
ⅲ)自然災害発生時に、借入金の元本返済を免除する融資プランの提供
ⅳ)予め定めた融資限度額や金利条件で、自然災害発生時に貸し出しを行う「災害コミットメントライン」の取扱い
また、簡易なBCPである事業継続力強化計画を策定することでものづくり補助金の優先採択につながることや、地方自治体もBCP策定企業に対する入札での加点措置の制度化、制度融資や独自の補助金などが国から期待されており、今後、これらのインセンティブがきっかけになり、地域金融機関と取引のある中小企業側からもBCP策定支援に関するニーズが増えてくることも予想されます。さらに、南海トラフ巨大地震は取引先である中小企業の事業継続に大きな影響を与える事態が予想されることから、とくにこの地域の金融機関が自分たちのBCP対策として取引先のBCP策定支援をしていくことも重要な課題の一つであると思われます。中小企業庁はBCP策定支援の専門家として中小企業診断士を位置付けることを検討しており、今回の法案をきっかけに金融機関もこれらの専門家と連携しつつ中小企業のBCP支援を行っていくことも検討材料になってくるかもしれません。
弊社では、中小企業の事業再生・事業承継を支援するとともに、金融機関様の支援や様々な連携も行っています。BCPを専門とする中小企業診断士も在籍しており、BCPの書面を作成するだけではなく、災害時に使えるBCPコンサルが可能です。中小企業のBCP策定支援を検討する金融機関様は是非、お声をかけていだければと思います(商工会・商工会議所様、地方自治体様へのご対応も可能です)。
*BCPとは:「BCP」は「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」と訳されます。地震、水害、新型インフレンザなど緊急事態に対し、素早く事業を再開できるよう前もって行う準備や計画のことです。
あいちbcpモデル
http://www.pref.aichi.jp/kinyu/BCP/bcpmodel1.htm
中小企業強靭化法案
http://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190215002/20190215002.html
中小企業診断士 竹上将人