まず始めに、政治の話でも、法律的な問題の話でもない。
マーケティングの話である。
先日、真っ黄色の目立つ封筒で「息子の名前」あてに手紙が届いた。
表右下には防衛省のロゴ
裏面のフタ部分には「国家を守る、公務員。陸海空自衛官募集!」
???
息子は中学3年生。
名宛人は、
「息子の名前」さん 保護者 様
とあるので、母である私が開封した。
中身は
1.陸上自衛隊高等工科学校のご案内 1通
保護者の皆様へ 9行
生徒の皆様へ 4行
学校の説明 「充実した教育内容」
2.令和6年 ○○駐屯地見学・説明会 申し込み案内 1通
戦車の写真
予約制・人数限定 電話での申し込みの見学会の内容
3.資料請求用のはがき 1通
DMなので当然「良いこと」しか書いていない。
「高度なテクノロジー教育」
「充実した待遇」
「拓ける将来への道」
中学生の進路決定において親の影響力と意向は大きい。それゆえこのDMのターゲットは中学3年生の息子であり、保護者である私だ。
このDMがどの範囲に送られているのか、身近なところで聞き取りをしたところ、送られていない自治体もあった。
地理的な絞り込みは行われているのだなと推測する。
基地が近く、身近である地域や関係者も多い地域か?それは、DM送付先として正しいと思う。
DMを受け取った息子の同級生の親に身近な聞き取りをしてみた。
個人情報保護の観点からモヤった。自衛隊だけの特別扱いにモヤった。など、ポイントは様々ながらやはり「モヤった」とのこと。
ターゲット層が「モヤった」時点でこのDMは失敗していると考えている。
君死にたまふことなかれ
多くの母にとっての15の息子が自衛隊へ勧誘されることにどんな感情が引き起こされるのか、を考えていないのかなと思うところである。
ちなみに、当該学校、令和5(2023)年度は350人の定員に対して1,619人の応募があったとのこと。担当者としては、この応募者を確保することが至上命題なのであろうが、マーケティングの基本はターゲットの気持ちを考えることにあると思う。