その計画に具体性はあるか。

連日、大谷翔平選手の話題がメディアを騒がせています。野球に興味のない方でも、「大谷翔平」の名前をご存じない方は少ないでしょう。大谷選手は、花巻東高校からドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団したプロ野球選手です。2018年からはメジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスに移籍し、投手と打者の「二刀流」で活躍しています。彼の活躍は、筆者の楽しみの一つになっています。

ところで、先日「事業再構築補助金」の一次公募の採択発表がありました。多くの事業者の方が興味を示していた補助金で、その採択結果が注目されていましたが、全体では応募件数22,231件、採択件数8,016件(採択率36.1%)という結果でした。採択結果については、思うところ様々でしょうが、筆者が興味を持ったのは、当補助金のサイトにアップされていた、「一次公募終了~その傾向と参考事例~」という動画です。その中では、中小企業庁の担当者から、一次公募で申請された計画の傾向が語られており、「数字目標は並べられているものの、その根拠の説明」や「誰が、いくらで、どのくらい買い取るのか」の説明が足らない計画が多い、との指摘がありました。つまり、事業計画で立てる目標は、ただ数字を並べるだけでなく、「具体性」を持たせることが課題であると言えそうです。これは、補助金申請だけでなく、あらゆる事業計画作成に必要なことでしょう。

ビジネスの場で目標達成に効果があると言われるマンダラチャートをご存知でしょうか。マンダラチャートを作成すると、漠然としていた目標や成すべき行動が明確になり、多数のアイデアや新しい発想が生まれ、効率的に目標を達成することが可能になると言われています。
大谷選手も、高校1年生の時に「マンダラチャート」を用いて計画を作成したことは有名です。その「大谷翔平のマンダラチャート(以下、画像)」では、「8球団ドラフト1位指名」でプロ野球選手になることを目標に掲げ、そのために必要な行動や心構えが書き込んであります。あらためて見てみると、高校時代によくこれだけ具体的な目標や行動計画を立てられたものだと感服します。実際には高校生時代から日本プロ野球のみならずメジャーリーグからも注目を浴びることになり、結果として「8球団ドラフト1位指名」は実現しませんでしたが、この「大谷翔平のマンダラチャート」を作成して、目標までの道のりを具体化していったことが、日本プロ野球のみならず、メジャーリーグの記録を塗り替える怪物的な活躍の源泉になっていることは間違いなさそうです。

その計画に「具体性」はあるか。ただ数字目標を並べるだけであれば事業計画作成は容易です。その数字目標の背景に、根拠はあるのか、市場規模はどのくらいか、顧客は誰なのか、何を・いくらで・どれだけ売るのか、なぜ顧客はその製品・サービスを購入するのか。その計画に、より具体性を持たせることが、成果につながるのではないかと思います。

(出典:スポーツニッポン「大谷翔平のマンダラチャート」)

中小企業診断士 森 正樹

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