支援先の経営者から「人が足りない。求人を出しても反応がない。」と人材不足の悩みを聞く機会が多
い。ヒアリングしてみると、従業員の平均年齢も50歳以上で、20~30歳代は数名程度という感じだ。特に、事業承継を控えている中小企業では、後継者を支える人材確保は重要な課題である。
人材不足のなか、大学生の就職観(データ)をみると、伝統・歴史や安定成長を重視するなど大手志向が見受けられ、大手企業の採用枠も広がっていることもあり、中小企業が新卒大学生を採用するのは厳しい状況にあります。
就職活動では、我が家の息子を見てみると、今の就職活動はほとんどネットで事足りるようです。求人サイトで企業概要や仕事の内容(動画含む)を確認して、エントリーした企業側からメールが届いてZoomなどで面談もしています。スーツを着て、パンフレットで重くなったカバンを抱えていくつも企業訪問していた自分の時代とは大違いです。求人サイトの活用は、費用対効果を考慮するとなかなか中小企業では対応しにくい点もあります。しかし、現在の新卒をはじめ採用手段としてはネットが主流であることは間違いないようです。
こうしたなか、補助金等を活用しながら
・女性用トイレを増改築した。
・事務所の外壁をきれいに塗り替えた(外壁に事業内容を絵で表現)
・子供(小中学生)を対象とした体験授業を開催した
など、直接雇用につながる方法ではないのですが、少しでも事業所を魅力的にできるよう努力した結果、採用につながったとの経営者の声を聞きます。トイレ改築の例では従業員からの口コミで応募してきた、外壁の例では絵を見て事業内容に興味を持って応募した、体験授業では同伴した親や、参加者の親族の子供が応募してきたそうです。
中小企業が採用する人材の多くは地元の住民です。しかし、地元の住民は地元の中小企業のことはあまり知りません。まずは自分の会社のことを知ってもらう機会を広げることで、口コミや紹介を通じて採用につながることがあります。「地域性が高い」中小企業にとっては、人材確保のためにはまず、自社のことを知ってもらうことが重要なのかもしれません。
中小企業診断士 梅村 薫